河辺宏一先生へインタビュー

この職業を目指したキッカケを教えてください。

中学からバスケットボールを始め、それからずっと続けています。中学の頃は東京代表に、高校も推薦で強豪校に入学。インターハイ（全国大会）を目指したのですが、一歩手前、東京で４位、関東大会16位で、残念ながら出場はかないませんでした。バスケットボールは、どうしても足元の怪我が多く、私も整骨院に通っていたこともあり、高校の頃から「人を治す仕事に就きたい」という憧れを抱いていました。

その後、スポーツ推薦で北海道の大学へ進学。卒業後は治療家の夢を諦められず、カイロプラティックの先進国アメリカに留学して、現在、当院で行っている独自の治療法を学びました。

帰国してから専門学校に通い、国家資格である「柔道整復師」を取得。治療家として働き始めました。開業にあたっては実家のある（東京都）昭島市を考えていたのですが、患者様から「こちらに残って治療して欲しい」という希望をいただきましたので、このエリアに整骨院を開業することに決めました。

治療家になるきっかけとなったバスケットボールは、今も続けています。忙しくてなかなか練習できませんが、時間が許す限り、身体を動かすようにしたいと思っています。

治療家としてのやりがいや喜びを具体的に

治療家の道を歩き始めて10年以上になりますが、整復師の仕事には「これで良い、大丈夫」ということがないと感じています。例えば「腰が痛い」と来院されても、患者様によって痛み方や原因が違う。ある人は首、またある人は足首が原因で、身体のバランスが崩れているケースがあります。また、普段の生活や環境によっても変わってきますから、同じ腰痛を治すといっても、アプローチの仕方も施術も異なるわけです。ですから、一人の患者様を治すと、治療方法の引き出しが増えます。これが次の患者様を治す際の貴重な情報になるわけです。「なぜ、患者様はこの部分が痛いのか？」を考え、その人に合った対処をする。私は常に勉強だと考えています。日々「もっと良い方法があるのでは？」と試行錯誤していますから、完璧に納得のいく治療は一生できないと思いますね。

しかし、それは私の課題でもあります。課題をクリアしていく中で、患者様の痛みを改善・解消することには、とてもやりがいを感じます。「どこの治療院行っても腰痛が治らなかったのに、先生のところに来たら痛くなくなった」と言ってくださると、本当にうれしく思います。

患者さんのためになる将来の構想やイメージがあればひとこと

患者さんが元気になって、できればもう、治療を受けずに生活してくださることが、私にとっていちばんうれしいことです。一生、どこかが痛いと整骨院に通わなくてはならないというのは辛いですしね。そのため、すでに取り組んでいることなのですが、「再発防止」を考え、「インナーマッスル」を鍛える「楽トレ」を行っています。インナーマッスルというのは、例えば股関節や肩関節、背骨にある小さな筋肉のことです。スポーツジムなどで鍛える「アウターマッスル」とは異なり、姿勢などを保ち、身体を支えるための筋肉だといえます。このインナーマッスルを付けることで、特にお年寄りが「転ぶ」「躓く」など、怪我の原因になるような事故が防止できると考えています。もちろん、インナーマッスルを鍛えることは年齢に関係なく有効です。

ただし、インナーマッスルは鍛えにくい。しかし、一度付けてしまうと戻りにくい筋肉なんです。「楽トレ」は年齢性別問題なく、誰でもインナーマッスルを付けることが可能なトレーニングですから、治療後、受けていただくことで再発防止につながると期待しています。先日、「楽トレ」を行った際には、多くの患者様がご参加され、皆様からもご好評いただきました。これからもぜひ続けていきたいですね。

また「産後骨盤矯正」も、30～40代の女性の方からご支持いただいています。これは妊娠・出産で負担のかかった骨盤を正しい位置に矯正する治療です。通院された方からは「体重、ウエストサイズが戻った」という声をいただいており、治療を受けられる方も増えています。

もうひとつ「交通事故診療」にも力を入れています。よく知られる「むち打ち症」ですが、これはとても怖い症状です。事故後、病院に行ってレントゲン撮影を行っても異常はないのですが、１週間、長いものになると２年後に痛みが発生することがあります。どうしてこのような状況になるかといいますと、例えば事故の際、首に衝撃を受けると関節が伸びてしまう。それが一見、元に戻ったようになるのですが、実は関節の位置や靭帯は微妙に伸びたまま。これがそのまま固まってしまうと、次第に神経や血管を圧迫して、頭痛やめまい、吐き気、手足のしびれ、つまり後遺症として現れるのです。ですから、むち打ち症は早く治療をすることが大切。レントゲンに写らないからといって大丈夫と判断せず、すぐに治療を受けていただければと思っています。むち打ち症はひどくなると、一生悩まされることになりますから、そういうことにならないよう、早期の交通事故診療は呼びかけていきたいですね。

診療以外の面では、患者様のみならず、治療を受けたことのない方に、もっと整骨院を利用していただければと考えています。未経験の方の場合、「整骨院は敷居が高いのでは？」「無理な治療で、逆に悪くなったという話を聞いた」という方もいらっしゃるようですが、当院は国家資格を有するスタッフが治療を行い、保険適応で治療できる施術もありますので、まずはご相談していただければと思います。また、もっとリラックスしていただけるように、私が好きなバリ島のイメージを感じていただけるような、親しみのある院内作りができればいいですね。

スポーツの面では、トレーナーとしても活動しており、最近ではボクシングの山中慎介選手のお手伝いをさせていただきました。2016年にはメジャーリーグのキャンプに参加する予定です。

患者さんに喜ばれたエピソードや治療院への声

以前、椎間板ヘルニアの患者様を診療しました。男性の方で、「病院で手術をすすめられたが受けたくない。どうにかならないでしょうか」ということで来院されたのです。まともに歩けない状態だったのですが、３か月間、通院・治療を行ったところ回復され、好きなゴルフを楽しめるようになったと喜んでいらっしゃいます。手術で治る方ももちろんいらっしゃいますが、しなくても改善するケースは少なくありません。

当院ではスタッフ一同、私も含め、日々技術向上につとめながら、患者様の治療に取り組んでいます。皆様に喜んでいただけるような治療を、これからも続けていきたいですね。